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第10話 ~颯斗目線

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-12-06 07:48:56

 俺はおかしい。

 美咲さんに似合うだろうとドレスを送ってみたり、幼馴染に会ってはしゃぐ美咲さんを見てなんだかムカムカして逃げてきたり。

 幼馴染の方を嫉妬というやつだろうか?俺は絶対に美咲さんに惚れない自信があったのに。惚れられる事はあっても惚れる事はないだろうとタカをくくっていた。

 今なら、神薙社長が言った「颯斗君、可哀想」の言葉の意味がわかる気がする。あの人は人の心の機微にスルドイなぁ。

 あ、美咲さんに送ったドレス!俺がエスコート側に立ってないと美咲さんの脚が万人に晒されてしまう。

 こんなところで不貞腐れていないで会場に戻ろう。

 そこらの茂みでは盛っている人がたくさんいるし、さっさとお暇しよう。

 戻ってみると、美咲さんの横には先ほどの幼馴染君(名前を忘れた)が立っていた。俺は美咲さんの方へ行き、幼馴染君に「そこは俺の場所ですよ?」と言った。牽制の意味。まだ婚約者の立場で実際に結婚しているわけじゃないからなぁ。これが限界。

 それでも美咲さんが、俺を待っていたような表情をしていたのでかなり救われた。

 美咲さんにこのドレスとかってやっぱりクリーニングですか?と聞かれた。クリーニングが無難だろうと思う。下手に手を出して失敗するよりもクリーニング屋さんに任せた方がいいと思う。

 ついでに今日の帰りには二人で今日の夕飯は何にするかを相談しながら買い物をしよう。そういうのってなんだかいいなと思う。

「美咲さん、今日の夕飯は何がいいですか?」

「なんだか疲れたから、疲労回復しそうなものがいいわ」

 会話の男女が逆のような気がするけどそれが俺達のカタチなのだから、気にしない。

 疲労回復……なんかドリンク剤にありそうな気がするけど、そうじゃなくて美味しい食事でありつきたいという話だ。

 ハーブと漢方薬は名前が違うだけだったりする。その中でも疲労回復効果のモノを選び、お粥にすると、癖の強いお粥になりそうだ。ネットなど情報を駆使して料理名なんかを割り出す。

 それが俺の仕事。普段はキチンと会社の仕事だってしています。美咲さんの補佐に任命されたからには全力で補佐の仕事をしましょう。手伝えと言われれば手伝うし、特に仕事のない時は家の掃除を全力でしましょう。

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